へら・彫金に使う道具のお話

MITUBACI職人の新藤です。

今回は彫金の工具「へら」の紹介です。

へらと言われてもどんな工具かわからないと思うのでまずは写真を見てください。

先の違った金属の細い棒と先端がプラスチックの様な棒です。えんぴつみたいですよね。

へらは金属の表面をなでるようにあてて使うことで、金属に光沢を出す事ができます。
シルバーなどの地金をへらでこすることで表面を硬くする効果もあります。●加工効果 金属は曲げたり槌で打つなど加工する事で硬くなる性質があります。
へらで金属の表面を押し当てる事で加工効果が得られます。

では、それぞれのへらの説明と特徴のお話に進みます。

超硬へら

先端が金属のへらが「超硬へら」と言って素材はタングステンでできています。
超硬と名前についているだけあってとても硬い素材です。
ぴかぴかに磨いてあります。
金属は通常紙やすりや研磨材で磨く事ができますがタングステンのへらを磨くには
ダイヤモンド砥石やダイヤモンドペーストを使用しないと磨くことができません。ダイヤモンドペーストは注射器に入っています。
超硬へらは先端が細く尖っているので、細かなところにへらをあてることができます。
私の使い方は悪いのかもしれませんが、先端が針の様に尖っているので気を付けないとキズをつけてしまいます。

ダイヤモンド砥石とダイヤモンドペースト

メノウへら

メノウへらの先端の素材は、メノウ(瑪瑙)という宝石の一種です。
超硬へらほどではないですが、硬い宝石なのでへらの素材ととしても使用されています。
写真をみてもわかりますが超硬へらよりも太いですね。
先端も超硬へらのように細くはありません。
先端から根本の太い所まで使う事ができるるので大きな面も磨く事ができます。
私の感覚ではメノウへらの方が金属への当たりが柔らかく感じられます。
先端も尖っていないので傷をつけてしまう心配もありません。全体的にメノウへらで仕上げてさらに細かな部分を超硬へらで磨くのがいいですね。磨くなら研磨材を使ってリューターやバフを使って仕上げた方が早いし綺麗じゃないの?
と思いますが、研磨(研磨材)はぴかぴかにはなりますが、表面を削って磨いています。
磨きすぎるとせっかくの模様も研磨で削ってしまったり面を歪ませてしまいます。そんな時に活躍するのがへらの仕上げです。
研磨の様に表面を削るわけではないので模様や形を歪ませる事なくへらの当たった部分のみを光らせる事ができます。
へらはとても繊細に磨く事ができる工具なんです。

へらを使う作業は仕上げの作業

MITUBACIワークショックの表面仕上げ「スノーフレーク」を例に説明します。
表面のテクスチャーは簡単に言ってしまうと様々な模様の凸凹を付けているのです。
スノーフレークのテクスチャーを付けた状態がこちら。

この状態だとテクスチャーが付いて全体がシルバーの光った色ですよね!
そしてこのまま「ブラスト」(つや消し加工)を施します。
すると全体が白くマットでつやの無い状態になります。
テクスチャーの名前の通り、雪が積もった表面のような白い仕上げです。
これもきれいです!!

ブラスト直後

ここからが「へら」の本領発揮です。

へらをあてる事でテクスチャーの出っ張った部分のみを光らせます。
すると光っている部分とつや消しの部分ができてコントラストがはっきりしてきます。

どうでしょう!さらに素敵な仕上がりになったと思いませんか?
シルバーや金のピカピカの仕上げはとても綺麗ですが、あえてつや消しの加工を使って魅力的に仕上げる事ができるのが、へらを使った仕上げです。

へらを使った手作業は加工するにつれて表情が変わってくるのがとても楽しいですよ。

個人的にはテクスチャーを入れたアイテムのお気に入りの仕上げ方法です。

ワークショップでテクスチャーを選ぶときに是非チャレンジしてみて下さい。 

へら・彫金に使う道具のお話
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