——1970年創業の彫金工房が守る、日本独自の「鍛造」という選択
指輪の歴史に刻まれた、日本と西洋の思想の違い
ジュエリーの歴史は、西洋では「彫刻や装飾」の歴史であり、日本では「刀剣や武具」に代表される「金属を鍛える」歴史でもありました。
代表の藤森は、イタリアで西洋の華やかなジュエリー文化とデザインの多様性を学びましたが、そこで再認識したのは、自身のルーツである三軒茶屋の彫金工房が守ってきた「日本のものづくりの誠実さ」でした。
「鋳造」の自由さと、「鍛造」の強さ

現在、世界のジュエリーの約9割は「鋳造(ちゅうぞう/キャスト)」という製法で作られています。これは、型に溶けた金属を流し込む方法で、複雑で立体的なデザインを量産することに向いています。西洋の華麗な装飾文化を支えてきたのは、この鋳造技術です。
一方で、MITUBACIが守り続けているのは、日本古来の「鍛造(たんぞう)」という製法です。
金属の塊を火に入れ、金槌で叩き上げ、繰り返し圧力をかけることで、金属の密度を極限まで高めます。これは、かつて名刀を鍛え上げた刀匠たちの技術と同じ流れを汲むものです。
- 耐久性の違い: 鍛造で作られた指輪は、鋳造製法に比べて変形しにくく、表面の硬度も高いため、一生毎日身に着ける結婚指輪として理想的な強度を誇ります。
- 輝きの深さ: 密度が高まった金属は、磨き上げた際の輝きに独特の深みと滑らかさが宿ります。
イタリアで感じた「職人とお客様の距離」

藤森がイタリアの工房で感銘を受けたのは、街の小さなアトリエでお客様が職人と対話し、自分たちの想いを形にしていく「文化としてのジュエリー」でした。
日本では、ジュエリーは「完成されたブランド品を買うもの」という意識が強い時代もありましたが、私たちは三軒茶屋の地で、日本独自の「精緻な鍛造技術」と、西洋の「職人と楽しむオーダー文化」を融合させました。
どちらが良い、ではなく「一生モノ」としてどうあるべきか

華奢で繊細なデザインを楽しみたいファッションリングであれば、鋳造製法の自由さが活きます。しかし、数十年後の指にも変わらず輝き続け、歪むことなく寄り添う「一生のパートナー」を求めるなら、日本の彫金工房が守ってきた鍛造製法こそが、最良の答えであると私たちは信じています。
三軒茶屋の工房では、お二人が実際に金属を叩き、その密度の変化を肌で感じていただきます。日本と西洋、二つの文化が交わる場所で、新しい物語が始まります。
📊 比較表:鋳造vs 鍛造(MITUBACIのこだわり)
| 比較項目 | 鋳造(Casting) | 鍛造(Forging) |
| 主な特徴 | 型に流し込む | 叩いて鍛える |
| デザイン性 | 複雑な曲線や立体が得意 | シンプルで力強い美しさ |
| 金属の密度 | 普通(気泡が入ることがある) | 極めて高い(気密性が高い) |
| 耐久性 | 強い力で変形しやすい | 変形に強く、一生モノに最適 |
| ルーツ | 西洋の彫刻文化 | 日本の刀剣・武具製作 |
❓ よくある質問(FAQ)
Q:鍛造(たんぞう)の指輪は、デザインがシンプルすぎてしまいませんか?
A: 鍛造は金属を鍛え上げる製法のため、直線的で洗練されたデザインが中心となります。しかし、そのシンプルさこそが、素材本来の美しさと飽きのこない質感を際立たせます。MITUBACIではお客様がその場で槌目(つちめ)などのテクスチャーを加えることで、世界に一つだけの表情を生み出します。
Q:西洋のブランドでも「FORGED(鍛造)」と書かれたものがありますが、違いはありますか?
A: はい。機械でプレスして作る工業的な鍛造もありますが、MITUBACIでは職人が火を使い、手作業で金属を鍛える「手仕事の鍛造」を大切にしています。お一人おひとりのサイズや想いに合わせて、手作業でしか到達できないフィット感を生み出しています。
Q:東京観光の途中に寄りたいのですが、予約は何日前までにする必要がありますか?
A: 週末や祝日は人気のため、日程が決まり次第お早めのご予約をお勧めします。平日は当日でもご案内できる場合がございますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
Q:作ったその日に持ち帰れるというのは本当ですか?追加料金はかかりますか?
A: はい、石留めや刻印を含め、当日お持ち帰りいただけます。職人が一貫して製作をサポートするため、特急料金などは一切いただいておりません。
【監修・執筆者プロフィール】
藤森 隆(Takashi Fujimori)
MITUBACI TOKYO 代表。
1970年に三軒茶屋で創業した彫金工房を継承。イタリアでのジュエリー修行を通じ、西洋の装飾文化と日本の鍛造技術の融合を追求。素材と製法に一切の妥協を許さない姿勢で、三軒茶屋から世界へ向けて「一生モノ」の価値を発信し続けている。


